福本早穂の教育心理カウンセリングオフィス、子どもと家庭の相談室こころのそえぎ 京都市山科

こころのそえぎ

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絵本の絵

第14回「そっといいことおしえてあげる」 おの りえん 文 垂石眞子 絵 福音館

これは、わたしの癒しの本である。
どうしても逃げることの出来ない現実の問題に切り刻まれるように心身を酷使していた時も、
ものを感じることすら拒絶して自分を守っていた時にも、
明るい励ましが返ってプレッシャーに感じられ人と接するのが億劫になっていたときも、
ふと手にとって眺めていると「そっと」押し付けがましくなく慰めてくれた。ふんわりやさしいひろやかな世界に誘い込んでくれる。

かつて若い頃の私には、七五調のリズムはあまり快いものではなかった。
俳句は短いので、またもともと諧謔的な要素があるのでからっとしていて楽しめたが、短歌や近代詩となると、あのリズムがなにもかも同じ色調に人を染めていくような気がして、それに対して抗いたい気持ちが抑えられなくなるのだった。(現代の短歌はまた別だが。)
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第13回「アンジュール———ある犬の物語」ガブリエル・バンサン 作 ブックローン出版

アンジュール—ある犬の物語

著者/訳者:ガブリエル バンサン

出版社:ブックローン出版( 1986-05-01 )

定価:

Amazon価格:¥ 1,404

大型本 ( 57 ページ )

ISBN-10 : 4892389579

ISBN-13 : 9784892389573


言葉のない絵本である。
ある書店の児童書コーナーで見つけたとき、いかにも私の好みそうな絵本だと思った。「きっと手にとって見るわよ。ほら、欲しいと思ってる」ってだれかに見透かされてるみたいで、わざとこの本を棚に返して、他のコーナーを回ってみたりした。で、やっぱり買ってしまった。連れて帰らないとあとで後悔しそうだったから。

とにかく、絵がうまい。無駄のない、感性のとぎすまされた詩のように、場面が切り取られ、描かれていないすべてを表す。

いきなり、走っている車の窓から、なにか大きなものが放りだされる場面だ。まるでたばこの吸殻を灰皿からばさっと捨てるように。(この棄て方から、犬が家族の一員として愛されてきたのではなく、動く調度品みたいに飼い主のステータスをあらわすために買われていたのだろうと想像している。犬のことはよく知らないが、ペットショップでは高く売られていそうな犬だから。)
着地して態勢を立て直すや否やくるったように追いかける犬。走り去る車の後ろの窓から、犬を捨てただれかが必死で追いかける犬を見ているにちがいない。

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第12回「あさえとちいさいいもうと」 筒井頼子 さく 林 明子 絵 福音館

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林 明子さんの描く子どもは、その年令の大きさ、体形、肌のやわらかさや髪のしなやかさなど実にリアルに描かれている。あかちゃんなら大体の月令まで分かるかと思うほどだ。そして何よりも子どものいきいきとした可愛らしさ、おぼつかない仕草が出ている。
表紙は、4才くらいの女の子が、まだあかちゃん気の残る1才半くらいの女の子に靴をはかせてあげているところ。小さいくにゃくにゃした足にちいさい靴をはかせるのは、結構大変だろう。
かいがいしい麻恵とおとなしくはかせてもらっている妹のあやちゃんの様子が微笑ましい。
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第11回「よるのきらいなヒルディリド」チェリ・デュラン・ライアン 文 アーノルド・ローベル 絵 わたなべしげお 訳 冨山房

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くろぐろと鎮まっている森、山、畑、空、ひっそりと遠慮がちに星が瞬いている。 夜の景色なので、銅版画が夜の表現にぴったり合っている。べったりと塗り込められた闇ではなく、無形のものが生きづいている動きを感じる闇である。遠くの屋根のしたでは、もうとっくにベッドにもぐりこんだ人々が、昼間のつかれを癒して眠りこけている姿が見えるようだ。
そんな静かな田園風景の丘の上に、一軒だけランプを灯して起きている人が居る。夜が大嫌いなヒルディリドばあさんなんだそうだ。こうもり、ふくろう、もぐらといった夜行性動物もきらいなら、星、影、月の光さえだいきらい。それなら眠ってしまえばいいのに、寝ることも嫌いだから、こんなつらい人はいないだろう。
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第10回「しちめんちょうおばさんのこどもたち」 吉野公章 作 おのきがく 画 福音館

ある晴れた春の日に、七面鳥おばさんがぬまのほとりで卵を4つ見つけたところから物語ははじまる。「いったいだれだねえ、卵を生みっぱなしにしたのは!」・・・七面鳥おばさんの正義感がいたく刺激されたのだろう、おばさんは「森じゅうにひびく声で」言ったのだ。
普通なら卵は生み出された直後から親鳥が抱きかかえているものだが、そこに卵だけ残されているのはどうした事情だろう?親鳥が他の動物に襲われたのだろうか?どうしてもそこに卵だけ残していかなければならなかった事情とはなんだろう?七面鳥おばさんは、親が自分の子育ての責任を放棄したかのように言うけれど。
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第9回「スーホの白い馬」大塚勇三 再話 赤羽末吉 画 福音館

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上下に塗り分けられた広大な天と地の間に、切り込むように発する歌声が響く。月を仰いで遠吠えする狼のように、ただ己の存在を示すために。「おれはここに生きているぞ」と。
視界の外のどこかに、この自分の存在を認める者が確かにいると感じているのだろう、せつないまでに発信し続けている歌声。その歌声からモンゴルの茫漠とした広さ、人と人との暮らしの距離が想像できる。
長い間人家に出会わず、歩き続けている旅人の目にふと見えた明かりのように、白くぽつんと点在しているゲル。そのなかでもとりわけ小さなゲルに、スーホという少年がおばあさんと一緒に住んでいた。両親は、病気か戦争か、何かあって亡くなったのだろう。おばあさんは残されたスーホが不憫でもあり、可愛かったに違いない。絵本の表紙には、凛とまゆを上げ、錫を張ったような目をした少年が、自分の体ほどもある白い子馬を抱いて立っている。この子馬は、スーホが羊を放牧しているときに偶然見つけて、連れ帰ったものだ。「辺りを見ても、持ち主らしい人もいないし、お母さん馬もみえない。・・・それで連れてきたんだよ。」とスーホの言うところを見ると、馬は大事な財産だったので孤児の子馬というのは珍しかったのだろう。
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第8回「雪の女王」アンデルセン 原作 ささき たづこ 訳 バーナデット 絵

雪の女王

著者/訳者:ハンス・クリスチャン アンデルセン

出版社:西村書店( 1999-11-01 )

定価:

Amazon価格:¥ 1,620

大型本 ( 1 ページ )

ISBN-10 : 4890138773

ISBN-13 : 9784890138777


1年前にこれを書こうと思い立って、ぐずぐずと書けないでいる内にもうすぐ冬も終わりそうだ。それで気がついたのだが、傍目からは、じっとうずくまって凍り付き、冷ややかに静まり返って動かないように見えるが、その内面は熱くドロドロとたぎっていたり、疾風が吹き荒れたり、ざわめき、もつれ、混沌を秘めているということがよくあるものだ。そんないつ果てるとも知れない時間をすごした後、人は成長するのかもしれない。
ある日、悪魔の作った鏡を小鬼たちが弄んで天国へ運んで行く途中、地上へ落としてしまい、何億万という鏡のカケラが世界中に飛び散ってしまった。聖書には神と共に悪魔や悪霊がしばしば登場する。「人間」そのものは悪くないのだが、悪魔や悪霊が人間に“悪さ”をして「人が変ってしまう」ことがある。目と胸に、悪魔の鏡のカケラが入った少年カイは、わけも無く突然「人が変ってしまった」ように、ゲルダに向って怒り出す。冷たい心になってしまったカイは、雪の女王に出会い、連れ去られてしまう。(実は、雪の女王が出てくるのは、この場面だけ。題名はヒロイン、中身は端役なのだ。でも、カッコイイネーミングだと思わない?)
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第7回「しばてん」 田島 征三 作・絵 偕成社

しばてん (田島征三)

著者/訳者:田島 征三

出版社:偕成社( 1971-04-01 )

定価:

Amazon価格:¥ 1,404

単行本 ( 32 ページ )

ISBN-10 : 4032040508

ISBN-13 : 9784032040500


田島征三さんの「ちからたろう」が見たくて、書店へいったら、風変わりな題名の背表紙があった。書棚から抜き取った途端に、闇の世界から躍り出てきたようなモノノケが、目にとびこんできた。
「しばてん」とはむかし、土佐に棲んでいたといわれている妖怪。———とある。
そうか、田島さんは高知県出身だったんだな、と思い、坂本龍馬の銅像が思い浮かぶ。ついでに、大阪の天神橋筋にあった「海援隊」という居酒屋も……。
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